はじめに
「住民票に出て来る住所って・・・」
「どうやって決まるんだろう?」
また、
「道路に囲まれた土地を右回りにまわると、目的の住所が見つかるって本当?」
(※↑これ本当です。住居表示実施地域では、建物の住所は右回りに付番されているんです。)
などなど、
住所について、一度は疑問に思った事はありませんか?
さて、
住所の決定方法には以下の2つの方式があるんです。
(※「地番方式」「住居表示方式」の呼称は、正式な呼称ではありません。この記事の読みやすさを考えて、便宜的に「地番方式」「住居表示方式」と表記しております。)
⇨土地の番号( 地番:ちばん ⇨ 用語解説&出典・引用元一覧 へ )を元に建物の住所を決定する方法。
②住居表示方式
⇨住居表示に関する法律を元に、住居表示を実施したい各市区町村(自治体)が住居表示の条例を定めて建物の住所を決定する方法。
この記事では、
住居表示方式について以下の項目について解説していきたいと思います。
・住居表示が実施された場合の住所の決め方
尚、
住居表示方式には、以下の2つの方式がありますが、
この記事では、
住居表示の実施をしている各市区町村で多く用いられている「街区方式」で解説していきたいと思います。
・道路方式(どうろほうしき ⇨ 用語解説&出典・引用元一覧 へ)
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住居表示の実施で住所はどう変わるの?
ここでは、
地番方式により建物の住所を定めていた地域で、
住居表示(じゅうきょひょうじ ⇨ 用語解説&出典・引用元一覧 へ)方式が実施され、
新たに建物に住所が定められた場合に、
住所の表記がどう変わるのか、
また、
なぜ?
住居表示方式を実施して建物に新たな住所を定める必要があるのか?
などなど、
ご紹介していきたいと思います。
今まで「地番方式」により土地の番号(地番:ちばん ⇨ 用語解説&出典・引用元一覧 へ )を元に建物の住所を定めていた地域で、
住居表示に関する法律を元に、「住居表示方式」を実施したい各市区町村が住居表示の条例を定め、
新たに建物に住所の番号を付定(ふてい ⇨ 用語解説&出典・引用元一覧 へ)し住所を定める制度のことです。
■ 付定(ふてい)とは、
住居表示の実施による住所の付番方法に従って、建物に住居番号を付番することです。
※この記事では、記事の読みやすさを考え、建物に住所をつけることを「付定(ふてい)」ではなく、「付番(ふばん)」と表記します。
住居表示の実施前、実施後の住所の表記の違い
ではまず、
住所の表記は、住居表示を実施することで以下の例のように変わります。
ポイントは、以下の2点です。
住居表示実施前 ⇨「◯◯番地◯◯(又は◯◯番地の◯◯)」
住居表示実施後 ⇨「◯◯番◯◯号」
・町名の変更が伴うことがある
■ 住居表示の実施前、実施後の住所の表記例
※例示で使用しております町名「大黒町」「大黒八丁目」は架空の町名です。実在はしておりません。
(住居表示実施「前」の住所表記例)
渋谷区大黒町 500番地77
(住所の構成)
【町 名】⇨ 大黒町
【地 番】⇨ 500番地77
※住所の500番地77は、土地の番号(地番)500番77の土地上に建物があることを意味します。
(住居表示実施「後」の住所表記例)
渋谷区大黒八丁目 5番5号
(住所の構成)
【町 名】⇨大黒八丁目
【街区符号】⇨5番
【住居番号】⇨5号
※住所の5番5号とは、
公道などで囲まれた幾つかの土地を1単位(街区:がいく)として街区符号を付り、更に建物の立っている場所と玄関の位置により定められた番号です。
(詳しくは、「どうやって住所を付けていくの?」の章でご説明いたします。)
住居表示の制度を導入する理由
次に、
なぜ?
土地の番号(地番)を元に建物の住所を定めていた市区町村が、
住所の変更を伴う住居表示を実施して、
建物に新しい住所の番号を定める必要があるのでしょうか?
その理由の一例としては、
⇩⇩⇩
「市区町村からの様々な通知の、配達遅延や誤配などにつながり行政事務に支障が生じる可能性があるためです。」
これは、
区画整理がされていない地域で、地番方式により地番を元に建物の住所を定めている地域では、
住所の番号を1から順に整然と建物に付けていくことが難しく、
ある建物の住所が「1番地1」だった場合に、
その隣の建物の住所が「7番地8」だったり、
土地の番号(地番)を元に建物の住所を定めると、
どうしても住所の番号が飛んでしまうところが発生してしまうなど、
特に建物が多い都市部などでは、住所の把握がたいへん困難になります。
このため、
土地の番号(地番)に依存しない住所の付番方式として住居表示方式を実施することで、
新たな住所の番号を、建物に整然と付番し住所の把握しやすくするためです。
上記のような理由は一例ですが、
この他にも公共の福祉の増進のために、各市区町村では住居表示の制度を導入しているようです。
~目次に戻る~
どうやって住所を付けていくの?
ここでは、
住居表示が実施された場合に、
どのように建物に新しい住所が定められるのか、図や例を用いてご紹介いたします。
また、
住居表示を実施し建物に住所を付番する作業の流れは、
主に以下①から③の順になります。
②街区符号、フロンテージ(間口)、基礎番号の設定
③建物の所在と玄関の位置から街区番号と住居番号を付番する
それでは、
①から③の作業を順に解説していきますね。
尚、
ご参考までに、
この記事は、以下の資料をもとに解説しております。
❝ 出典・引用元 : 街区方式による住居表示の実施基準( 昭和38年7月30日自治省告示第117号 、 改正 昭和42年8月10日自治省告示第131号 、 改正 昭和60年7月 3日自治省告示第125号 )
❝ 出典・引用元 : 東京都における住居表示の実施に関する一般的基準(昭和 38年総行指発第 416号、昭和 42年 10月 改正総行指発第 755号)
住所の付け方①|街区割り
まず、
以下の図のように、住居表示の実施を行う地域の街区割り(がいくわり ⇨ 用語解説&出典・引用元一覧 へ)を行います。
街区割りとは、
住居表示を実施するために、公道などに囲まれたいくつかの土地を1つの単位として区画する作業です。
また、区画された土地を街区といいます。
区画の単位としての基準は、
区画する土地の大きさとして、3,000㎡から5,000㎡、
区画内に存在する建物が20戸から30戸程度を基準としているようです。
住所の付け方②|街区符号、フロンテージ(間口)、基礎番号の設定
次に、
以下の図のように街区割りにより区画された土地に対して①から③を設定します。
①街区符号
⇨街区符号の付番の基準は、市区町村の中心地に近い右側の街区を起点とし、右回りに蛇行して付番するなど各市区町村の条例で定めた基準で付番されます。
②フロンテージ(間口)
⇨各市区町村の条例で定めた基準に従い、区画された街区の周りに10mから15mの間隔で設定されます。
③基礎番号
⇨街区の周りに設定されたフロンテージ(間口)のあいだに、街区右側の角を起点とし右回りに付番するなど各市区町村の条例で定めた基準で付番されます。
住所の付け方③|建物の所在と玄関の位置から基礎番号を元に住居番号を付定(ふてい)する
最後に、
以下の図のように、建物の所在と玄関の位置(主な出入り口)から基礎番号を元に住居番号を付定(ふてい ⇨ 用語解説&出典・引用元一覧 へ)し住所を定めます。
■ 付定(ふてい)とは、
住居表示の実施による住所の付番方法に従って、建物に住居番号を付番することです。
この記事では、
記事の読みやすさを考え、住所をつけることを付定ではなく、付番と表記します。
上記の図から、
定めた住所の表記例は、
町名を「渋谷区大黒八丁目」とすると以下のようになります。
※例示で使用しております町名「大黒八丁目」は架空の町名です。実在はしておりません。
(①建物の住所表記)
渋谷区大黒八丁目1番1号
(住所の構成)
【町 名】⇨大黒八丁目
【街区符号】⇨1番
【住居番号】⇨1号
(②建物の住所表記)
渋谷区大黒八丁目1番4号
(住所の構成)
【町 名】⇨大黒八丁目
【街区符号】⇨1番
【住居番号】⇨4号
(③建物の住所表記)
渋谷区大黒八丁目1番8号
(住所の構成)
【町 名】⇨大黒八丁目
【街区符号】⇨1番
【住居番号】⇨8号
◆ 参考までに ◆
■ 住居表示が実施されると、新住所の番号から不動産登記簿謄本が取得出来ないって本当?
本当です。(^_^;)
住所の表記方法が、
「地番方式」から、
新たに「住居表示方式」が実施された地域では、
住居表示実施後の新住所からは、
不動産登記簿謄本が取得出来ないケースがほとんどです。
その理由は、
「地番方式」により土地の番号(地番:ちばん)を元に建物の住所を定めていた地域で、
新たに「住居表示方式」が実施されると、
以下の例の通り、
住居表示実施「後」に新たに建物に付けられた新住所の番号と、
住居表示実施「前」の建物の旧住所の番号(土地の番号「地番:ちばん」)との間に、
ズレが生じるケースがほとんどだからです。
(まれに、住居表示実施「前」と「後」で、住所の番号が同じ場合もあります。)
住居表示実施「後」の住所(新住所)
⇨ 渋谷区大黒八丁目 5番5号
住居表示実施「前」の住所(旧住所)
⇨ 渋谷区大黒八丁目 500番地77
ですので、
新たに住居表示が実施された地域で、
不動産登記簿謄本を取得する場合には、
あらかじめ住居表示実施「後」の新しい住所の番号から、
住居表示実施「前」の旧住所の番号(地番)を調べる必要があります。
上記の例で言うと、
不動産登記簿謄本を取得する場合には、
新住所の番号「5番5号」から、
旧住所の番号「500番77(地番)」を、以下のような方法で事前に調べておく必要があります。
⇩⇩⇩ ①が無い場合には、②の方法で調べる。
②「固定資産税の納税通知書」の課税物件の記載事項から地番を確認する。
※注意!
固定資産税の納税通知書には課税物件のみ記載され、私道などの非課税物件は記載されません。その場合には各市区町村(23区の場合は各都税事務所)の固定資産税担当窓口で「名寄帳(なよせちょう ⇨ 用語解説&出典・引用元一覧 へ)」を取得するなど担当窓口にてご相談下さい。
⇩⇩⇩ ②が無い場合には、③の方法で調べる。
③不動産所在地を管轄する法務局に住所から大まかな地番を問い合わせて、住宅地図(Yahoo!地図など)と公図(こうず ⇨ 用語解説&出典・引用元一覧 へ)を取得し、住宅地図と公図を照らし合わせて取得する対象物件の地番を特定する。
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ま と め
最後までこの記事にお付き合い頂きありがとうございました。
住居表示方式の実施による建物への住所の付番方法などについてご紹介してきましたが、
お役に立てたでしょうか?
以下に、
この記事の要約を箇条書きに「まとめ」てみましたのでご参考として下さい。
ではでは、また次回の記事にて。
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Q 住居表示の実施で住所はどう変わるの?
■ 住居表示実施「前」と「後」の住所の表記例
以下の例示のように
「◯◯番地◯◯(又は、◯◯番地の◯◯)」から
「◯◯番◯◯号」に変わり、町名の変更が伴うこともある。
(住居表示実施前の住所表記例)
渋谷区大黒町 500番地77
(住居表示実施後の住所表記例)
渋谷区大黒八丁目 5番5号
※例示で使用しております町名「大黒町」「大黒八丁目」は架空の町名です。実在はしておりません。
■ 市区町村が住居表示の制度を導入する理由
都市部など建物が多い地域で、住所が整然と番号順に並ぶことで住所の把握を容易にするなど公共の福祉の増進のために導入している。
Q どうやって住所を付けていくの?
■ 住居表示実施での住所を付番する流れ
①街区割り
②街区符号、フロンテージ(間口)、基礎番号の設定
③建物の所在と玄関の位置から街区番号と住居番号を付番する
◆ 参考までに ◆
新たに住居表示が実施された地域では、新住所の番号から不動産登記簿謄本が取得出来ない場合が出てきます。
そのため、
住居表示が実施された地域で不動産登記簿謄本を取得する場合には、
住居表示実施「後」の新住所の番号から、
住居表示実施「前」旧住所の番号(地番)を調べる必要があります。
~目次に戻る~
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