相続登記を放置することで起こるリスクは?
回答
相続登記を放置することで、主に以下のようなリスクが考えられます。
●相続登記義務化により10万円以下の過料(行政罰)の発生
●各相続人自身に起こり得る事項により遺産分割協議が困難となる
●被相続人名義のため所有権を第三者に主張できない
相続登記義務化により10万円以下の過料(行政罰)の発生
相続登記義務化により、10万円以下の過料(行政罰)が発生する可能性があります。
この回避方法としては、以下の2点となります。
●期限内に相続登記を申請する
●期限内に「相続人申告登記」を法務局に申し出る
各相続人自身に起こり得る事項により遺産分割協議が困難となる
各相続人自身に起こり得る事項は、主に以下のような事項となります。
各項目で回避方法等も記載しておりますが、一番の回避方法は、速やかに相続登記を申請し、所有者を確定する事です。
【数次相続の発生により相続人が増える】
時間の経過により、対象となる相続人が死亡し、新たな相続(数次相続)が発生することで、遺産分割協議に参加する相続人が増えて、遺産分割協議が難航する。
【相続人に連絡がつかない又は行方不明】
時間の経過により、対象となる相続人に連絡がつかない又は行方不明で遺産分割協議への参加が困難となる。
この回避方法としては、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所へ申立し、選任後に不在者財産管理人に遺産分割協議へ参加してもらう。
なお、不在者財産管理人は分割協議においては、基本的に、不在者相続人の法定相続分での分割を主張するため、遺産を自由に分割することが難しくなる可能性があります。
【相続人に認知症となった方が現れた】
時間の経過により、対象となる相続人が認知症となり、遺産分割協議への参加が困難となる。
この回避方法としては、成年後見人の選任を家庭裁判所へ申立し、選任後に成年後見人に遺産分割協議へ参加してもらう。
なお、成年後見人は分割協議においては、基本的に、認知症発症者(被成年後見人)の法定相続分での分割を主張するため、遺産を自由に分割することが難しくなる可能性があります。
【相続人の借金により、不動産の一部が債権者に差押えられた】
相続人の借金により、不動産の一部(相続人の法定相続分)が、債権者により差押の登記がされ、不動産の競売手続きが開始した。
この回避方法としては、債権者へ借金を弁済し不動産の競売手続きを取下げてもらう。
被相続人名義のため所有権を第三者に主張できない
被相続人名義のため起こり得る事項は、主に以下のような事項となります。
【固定資産税の支払いを求められる】
相続人であるとして、不動産を管轄する市区町村の役所より固定資産税の支払いを求められる。
この回避方法としては、速やかに不動産の相続登記を申請し、市区町村の役所へ固定資産税を支払う所有者を知らせる。
【売却できない】
不動産の名義が被相続人のため、売買契約で、自身が不動産所有者であることを、買主に主張できない。
この回避方法としては、速やかに不動産の相続登記を申請し、買主に自身が所有者であることを知らせる。
【建物の修繕等ができない】
不動産の名義が被相続人のため、修繕等の契約で、自身が建物所有者であることを、建物修繕業者に主張できない。
この回避方法としては、速やかに不動産の相続登記を申請し、建物修繕業者に自身が所有者であることを知らせる。
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