相続人の中に未成年者がいる場合の遺産分割協議への参加者はだれ?
回答
未成年者が相続人である場合の遺産分割協議への参加者は、未成年者の置かれている状況により以下の通りです。
【未成年者と親権者が利益相反しない場合】
親権者が未成年者を代理して、遺産分割協議に参加します。
【未成年者と親権者が利益相反する場合】
利益相反する未成年者のために、家庭裁判所に特別代理人の選任を申立し、選任された特別代理人が遺産分割協議に参加します。
【複数の未成年者が利益相反する場合】
利益相反する未成年者のために、家庭裁判所に特別代理人の選任を申立し、選任された特別代理人と利益相反しない親権者が遺産分割協議に参加します。
【未成年者に親権者がいない場合】
親権者の死亡等により親権者がいない場合には、未成年者のために未成年後見人の選任を申立し、選任された未成年後見人が遺産分割協議に参加します。
未成年者と親権者が利益相反となる場合
以下の場合には、未成年者と親権者が利益相反となるため、未成年者のために家庭裁判所へ特別代理人の選任を申立する事になります。
【未成年者と親権者がともに相続人の場合】
この場合、仮に遺産分割協議内容が、未成年者の有利な結果になったとしても、遺産分割協議自体が利益相反行為にあたるため、特別代理人の選任を申立をすることになります。
【相続人となる未成年者が2名以上いる場合】
未成年者AとBがいる場合には未成年者Aと未成年者Bは利益相反関係になるため、仮に、親権者が未成年者Aの法定代理人となった場合には、親権は共同親権が原則のため、未成年者Bには、特別代理人の選任を申立をすることになります。
利益相反の民法条文
(利益相反行為)
第826条
親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
法改正による未成年年齢引下げと未成年者の婚姻による成年擬制規定の削除
令和4年(2022年)4月1日の民法改正により、成年年齢が20歳から18歳に引下げられ、同時に、婚姻できる年齢も男女ともに18歳とされたため、未成年者の婚姻による「成年擬制」の規定は削除されました。
そのため、遺産分割協議の時点で、18歳以上の者は、本人が遺産分割協議へ参加し協議することが可能となりました。
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